
学科が終わったら製図試験!すぐに準備が必要だけど製図道具って何が必要なの?

基本的な製図道具は揃えたけど、もっと効率を上げる道具はあるのかな?
本記事では、そんな疑問にお答えすべく、一発合格に成功した私が実際に採用したおすすめの製図道具を理由と共にご紹介します。
必要な製図道具を網羅できる内容となっていますので、気になる項目をご覧下さい。
・製図道具はセット購入すべきか、単品購入すべきか
・これがないと始まらない「製図道具5選」
・合格率を上げるための「製図道具11選」
・持っていたけど使わなかった製図道具
自己紹介
製図道具はセット購入すべきか、単品購入すべきか

結論から言うと、製図道具は単品で購入することをおすすめします。
資格学校が購入を促す製図道具セットは、最低限必要な道具を一気に入手できるというメリットがありますが、使い勝手がいまいちな道具やそもそも不要な道具が含まれているのが現実です。
例えば、勾配定規は作図用紙が方眼用紙で簡単に勾配を割り出せるため不要です。三角定規は、ほとんどの方が最終的にツマミ付きに買い替えます。三角スケールは15cmだと短いし、シャープも自分にあった製品を模索したいものです。

使い勝手がいまいちで結局買い増し、トータルで見たら最初から単品で買っておいた方が安かった。。なんてこともけっこうあります。
絶妙な価格設定の製図道具は買うかどうか迷います。「試験が終わったら使わない」と考えてしまうのが一つの理由ですよね。
ですが、迷った理由が金額であれば購入することをおすすめします。(もちろん、この記事の製図道具に限らず。)
理由は、自分に合っていなかったり、無事合格できて使用頻度が減ったら、必要としている方に譲れば良いからです。どうしても必要になったら再度購入すれば良いと考えています。
数千円を渋り、合格を取りこぼす方が金額的にも時間的にも損害が大きいですよね。

実際にツマミ付き三角定規やテンプレートなどはメルカリで譲りました。たすきを繋ぐような感覚ですね。
▷【一級/二級建築士試験】合格率を上げる「勉強時間を確保する方法・工夫」
これがないと始まらない「製図道具5選」

平行定規 A2
まずは「平行定規」です。製図板に上下に可動する水平方向のスケールが備わった道具で、ほぼ100%の人が使用します。(なお、持ち込みが禁止されているドラフターは、水平方向に加え垂直方向のスケールが備わっているものをいいます。)
一級建築士設計製図試験はA2の作図用紙に図面を描くため、A2版サイズ(45cm×60cm程度)を用意します。
おすすめは、STAEDLAR「平行定規 A2 マルスライナー 960 A2」です。平行定規の先駆けであるマルスライナーは、現在も学校で指定機として使われる信頼性のある機種です。作図に必要な機能を抑えたシンプルな作りなので馴染みやすい平行定規です。

三角定規(※オススメはツマミ付き)
次に「三角定規」です。前述した平行定規に備わっている水平方向のスケールと組み合わせて使用することで、垂直方向の直線に対応します。
おすすめは「ツマミ付き三角定規」です。
ツマミによる操作性が優れており、平行定規との連動が非常にスムーズです。(製図道具セットに入っている三角定規はツマミなしのものが一般的で、セットを購入したほとんどの方が、途中でツマミ付きに買い替えている印象でした。)
私が採用したのは、TAKARA licence「ツマミ付き三角定規」です。
こちらが素晴らしいのは短辺160mmだからこそ成せる小回りの良さです。多くの方が使っているVancoの三角定規は短辺212mmのため、それより一回り小さい印象です。

最終的にサイズは好みですが、私の場合、何百何千と動かす三角定規は操作性を重視しました。





ツマミなしの三角定規とは下記のような製品です。品質は素晴らしいのですが、スピード勝負の一級建築士設計製図試験においては不向きだと思います。
製図用シャープペン
次に「製図用シャープペン」です。
図面を描くために開発されたシャープで、ペン先が細く設計されているため、厚さのある定規でも繊細で真っ直ぐな線を引くことが可能です。
私が採用したのは、STAEDLAR「0.5mm 製図用シャープペン ブラック 925 15-05」「0.7mm 製図用シャープペン ブラック 925 15-07」です。
注目すべきは重さで、9.2gという軽さです。6時間30分ノンストップの試験では、メインシャープの重さが非常に重要です。
製図対策を始めた当初、メインシャープは「0.5mm 製図用シャープペン ナイトブルーシリーズ 925 35-05N」を使用していました。性能は素晴らしいのですが、こちらは重さが18.14gあるため、疲労の蓄積が否めませんでした。

そんなに変わる?と思ったそこのあなた。数字的にたいした重量差ではありませんが、通しで作図を行った時の疲労感の違いに驚くと思いますよ。




なぜ太さの異なるシャープを用意するのかというと、断面線等は比較的太く描いて、メリハリある図面表現とするためです。


シャープ芯
次に「シャープ芯」です。
馴染みのシャープ芯で問題ないですが、安価なものは脆く折れやすいため、信頼性のあるメーカーを選ぶことをおすすめします。
私は、STAEDLAR「シャープ替芯 マイクロカーボン 0.5mm B」を使用していました。筆圧を省力化して体力を温存するために「B」を愛用していました。

ユニの替芯も非常に人気が高かった印象です。
消しゴム
次に「消しゴム」です。
馴染みの消しゴムで問題ないですが、私は5.5mmという薄型形状に進化した消しゴムである「モノスマート」を好んで使っていました。
資格学校に推されて購入したピンポイント消しに特化したノック式消しゴム「モノゼロ」は、ペン立てに入れておいたものの出番はなかったです。理由は、後述する「字消し板」の方が私の肌に合っていたためです。
▷【一級建築士設計製図試験】合格率を上げるための『コツ・小技4選』エスキス編
合格率を上げるための「製図道具11選」

それでは、合格率を上げるための製図道具11選をご紹介します。なくても一級建築士製図試験は成立しますが、スピード勝負の試験に挑むために必要な優秀な製図道具をまとめました。
テンプレート
まずは「テンプレート」です。
「円 / 楕円 / 正三角形 / 正方形」などの型が備わったプレートのことをいいます。
1番の活躍の場は、正方形で柱を描く時です。1/200スケールで3.5mm角の正方形を使うことで、700mm角の柱を手早く描くことができます。
私が採用したのは、STAEDLAR「テンプレート976-04」です。
こちらが素晴らしいのは78mm×156mmだからこそ成せる操作性です。テンプレート976-03は、115mm×230mmのため一回り大きい印象です。

※本製品には正六角形の型があります。私は没収されませんでしたが、私の知人が2021年度の試験で正六角形ありのテンプレートを没収されてしまいましたので、976-03を選んだ方が無難かもしれません。。

フローティングディスク
次に「フローティングディスク」です。
三角定規やテンプレートの背面に貼り、接地面を減らすことができます。
接地面を減らすことで、滑りを良くするとともに、擦れによる図面の汚れを最小限に抑えることができます。図面仕上がりの美しさは採点官の心象に関わるという話もあるので、意識すべきポイントです。

私は背面6箇所にフローティングディスクを付けていました。フローティングは好みが分かれますが、私の場合、滑りの向上を感じたので本番でも採用しました。

三角スケール
次に「三角スケール」です。
使用頻度は少ないですが、柱のプロット位置を素早く割り出すために使います。
ですが、作図用紙は方眼用紙のため、方眼を数えれば問題なくスパンを割り出すことができます。そのため、方眼を数えることに苦手意識がない方は、必ずしも必要ではない道具です。

私は三スケを使った方が早くプロットできたので採用しました。なお、15cmだと長さが足りなくなるので、30cmをオススメします。
字消板
次に「字消板」です。様々な形状の穴が空いており、狙った箇所を消すことができます。
当初私は、字消板の有用性を理解しきれず、数回使った後は使わなくなってしまいました。ですが、画像のように製図板に貼り付かないよう反らせて使用する方法を知ってから手放せない存在となりました。
私が採用したのは、ウチダ「ステンレス字消板B」です。

ウチダの字消板はA・Bの2種類があります。私の場合、細かい箇所を消すためにサイズ違いの四角形がある字消板Bを愛用していました。



蛍光ペン
次に「蛍光ペン」です。問題文の重要箇所へのマーキングや頭の整理に使います。
「面積はピンク / 落としがちな備品にはイエロー」等、自分でルールを決めておくこで問題文の再チェック時の効率化が図れます。

私は、エスキスで柱のプロットなどにも活用していたので、消せるフリクションを使っていました。問題文へのマーキングが主であれば、キャップが飛んで行く心配のないノック式が良いと思います。
ドラフティングテープ / 滑り止めゴムマット
次に「ドラフティングテープ」です。作図用紙を平行定規に固定するために使います。
平行定規に付属するマグネットで固定することも可能ですが、わりと簡単にズレてしまいます。
試験本番でズレてしまうと、余計な時間がかかってしまうだけでなく、焦りを引きずってしまいかねません。そんなリスクを負う必要はないので最初からドラフティングテープで固定します。
さらに、平行定規と会場デスクを固定するのにも役立ちます。滑り止めゴムで動かないようにする方法も広く知られていますが、当時私が資格学校に通っている時に、愛知の試験会場で滑り止めゴムの没収があったようで、その対応策として勧められた方法です。
公益財団法人 建築技術教育普及センターHPによると「他の受験者の妨げになるものは不可」とあるので、よっぽどな使い方だったのかもしれません。。

作図用紙からテープを剥がす時に破けないように注意してくださいね。

製図用ブラシ
次に「製図用ブラシ」です。柔らかな馬毛が使われているため、用紙上の消しカスを図面を汚さずに掃除することができます。
使用頻度は少ないですが、せっかく丹精込めて作った図面が汚れてしまっては興醒めですので、準備しておきたい道具です。

私は、試験本番で最後の仕上げに使ってたので準備しておいて良かったと思っています。
ペンタブレット 2本指 グローブ
次に「ペンタブレット 2本指 グローブ」です。薬指と小指に装着し、紙面上でスムーズな動きを実現します。
私は多汗症なので湿気による図面のスレ(汚れ)を懸念していたのですが、これを両手に装着して解消されました。また、多少の消しカスはブラシを使わずに小指で払えるのも嬉しいポイントです。


私が購入したものはメディアカバーマーケットのものですが、各社から様々な製品が出ています。






電卓
次に「電卓」です。面積計算をするために使用します。
公益財団法人 建築技術教育普及センターHPによると「加減乗除、ルート、メモリー、%機能、関数機能を限度とし、プログラム機能を有せず、小型で音のしないもの」とあります。要は、高機能過ぎず音で邪魔してくれるなよ。ということなので、それらに触れていなければOKです。
一つ気にしておきたいポイントは、押し間違いが起きにくい大きさです。コンパクトさを求め過ぎると、ボタンが小さくて押し間違いが起きるので、一般的な大きさのものがおすすめです。

私は、スッキリしたデザインのカシオの電卓を好んで使っていました。

時計 / ストップウォッチ
次に「時計 / ストップウォッチ」です。言わずもがな時間管理をするためのものなので、馴染みのものでOKです。
公益財団法人 建築技術教育普及センターHPによると「小型で時計機能のみのものに限る、アラーム等音の機能の使用は不可」とあります。電卓同様、音で邪魔してくれるなよ。ということなので、それらに触れていなければOKです。

ファイルボックス / ペン立て / テンプレートスタンド
次に「ファイルボックス / ペン立て / テンプレートスタンド」です。
製図道具をまとめて格納することに加え、視認性が良くなるように自分で工夫することで、作業中の道具の持ち替えが効率良く行えます。
資格学校に行く時に、これらを丸ごとリュックに入れて持ち運ぶことができます。100円ショップで簡単に手に入れることができ、私の周りにはダイソーの製品を使っている人が多かった印象です。

私は無印良品のアクリルペン立てを数種類好んで使っていたのですが、現在は一部取り扱いがなくなってしまったようです。

テンプレートスタンドも根強い人気で、多くの方々が使っていました。
▷【一級建築士設計製図試験】エスキスの基本手順習得 / やり方のおさらい
持っていたけど使わなかった製図道具

最後に、持っていたけど使わなかった製図道具をご紹介します。いずれも学生時代に購入しており、念のため準備しておきましたが、出番はありませんでした。
コンパス
まずは「コンパス」です。屋上庭園などに10m級の大きな内接円を求められた時に使用します。
なお、大きな円が描けるテンプレートを用意する方もいます。綺麗な円を描くことが目的ではないので、気にならなければ方眼を駆使したフリーハンドでも差し支えないです。
勾配定規
次に「勾配定規」です。屋根勾配に指定がある課題やスロープが断面図に出てくる時に使用します。
ですが、前述したように作図用紙は方眼用紙のため不要です。4/10の屋根勾配だろうが、1/12勾配のスロープだろうが、方眼を数えて簡単に割り出すことができます。
雲型定規
次に「雲型定規」です。美しい曲線を描くための道具ですが、減点方式である製図試験において、曲線的な平面計画やデザインは求められていないので、ほぼ不要と断言できます。
▷【一級建築士設計製図試験】一発アウトからの復活方法 / 直前確認!
まとめ
限られた時間で一級建築士設計製図試験を突破するには、優秀な製図道具の力を借りることが必要不可欠です。
些細なことでも、本記事の情報がご覧いただいている方のお役に立ち、一級建築士設計製図試験の合格率を上げる一助になれば幸いです。応援しています。


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