
作図の基本は覚えたけど、すぐに取り入れられるコツや小技はあるの?

作図スピードを上げたり、仕上がりを美しくするコツってあるの?
本記事では、そんな疑問にお答えすべく、一発合格に成功した私が、実際に本試験で採用した作図のコツ・小技5選をご紹介します。一級建築士設計製図試験の合格率を上げる一助になれば幸いです。
本記事でご紹介する作図のコツ・小技は下記の通りです。共感できるものがあれば、是非取り入れてみて下さいね。
・基準線を描かない
・フリーハンドは描く場所を決めて練習する
・仕上げ表現を決めておく
・断面図の切断位置はクランクOK
・引き出し説明文を書く
自己紹介
合格率を上げるための『コツ・小技5選』作図編!

それでは、合格率を上げるための作図の『コツ・小技5選』をご紹介します。
基準線を描かない
これは是非とも習得をおすすめしたい図面を美しく仕上げるためのコツです。
一般的な作図手順は「基準線→柱」の流れですが、そのまま「柱」から描きます。
習得に若干の練習が必要ですが、慣れてしまえば簡単です。基準線を描く手間がなくなるので2,3分節約でき、間違いなく図面の仕上がりが美しくなります。

画像で流れをご説明します。
※便宜上、柱を着色しています。





①エスキスで設定したグリッドの基準となる位置のみプロット
②最上段の柱(オレンジ色)を作図
③オレンジ色の柱位置を参照して緑色の柱を作図
④くり返し



仕上がりの美しさが一目瞭然ですよね。
ただし、途中でズレたまま突っ走らないようにご注意ください!
フリーハンドは描く場所を決めて練習する
「フリーハンドにしなさい!」製図対策をしていると四方八方から飛んでくる声です。
そして、私はこの意見に賛成です。スケッチが得意な人は大ラッキーですので、是非ともフリーハンドの精度を上げて本番にのぞんでください。
フリーハンドは定型的に描く項目を決めておくことをオススメします。例えば「家具 /トイレブース / 階段 / EV / 外構 / 駐車スペース / 配管スペース」等です。こう来たら、こう描くというパターンを決めておくことでタイムロスが防げます。
さらに、描く場所を決めておくことで良いことがあります。
それは、部分的な練習ができることです。建築関係の仕事をされているであろう皆さんは多分に漏れず多忙だと思います。そういった状況で、比較的短時間で場所を選ばずに練習できるというメリットがあります。

本番では、ほぼ練習した通りのパターンで書きました。

仕上げ表現を決めておく
争点に上がりにくいものとして仕上げ表現があります。
例えば、アプローチやデッキなどの仕上げ表現です。ちょっとした工夫で精度と美しさが向上するので自分の表現を決めておくことをオススメします。
当時、とてつもなく高い製図試験合格率を誇る講師の生徒さんに成果品を見せていただいたことがあり、表現を真似させてもらいました。
他の人の図面を見れる環境の場合は、仕上げ表現にも注目して、良い表現を自分のものにすると良いと思います。

参考画像を例にいくつかご説明します。



断面図の切断位置はクランクOK
設計意図をより表現できるのであれば、切断位置をクランクさせることは差し支えありません。
なぜ差し支えないと言えるのかというと、私が実際に本試験で採用して合格できたからです。
私が受けた平成30年設計課題の断面図の切断位置は下記の要件でした。
切断位置は、プールを含み、1階から3階の立体構成がわかる断面とする。なお、水平方向及び鉛直方向の省略は行わないものとする。
上記から、プールを含める必須条件に加えて、要求室の条件である3層吹抜で立体構成を伝える断面図が適切だと判断しました。ただし、あくまで切断線は直線がセオリーです。どうしても、という状況でなければ直線としてくださいね。

以下、私の復元図面です。



ちなみに切断位置に方位指定がなく、文章の要件を満足できる状況なら、短辺方向で切断して描くスパンを減らすことをオススメします。
引き出し説明文を書く
ついつい後回しになるのが引き出し説明文です。
標準回答例によりますが、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公開しているものにも記載があります。
では、なぜ引き出し説明文が必要なのか。それは、設計課題 Ⅱ要求図書の欄を見ると分かります。
「なお、各図面には、計画上特に留意した事項について、簡潔な文章や矢印等により補足して明示する。」
「なお、各図面には、必要に応じて、計画上留意した事項について、簡潔な文章や矢印等により補足して明示する。」
上記のように、年度によって「必要に応じて」という一文があったりなかったりします。つまり、普段から書く癖を付けておけば、つまらない減点を防ぐことができます。

あくまで重大なミスがないかのチェックが優先ですが、覚えておくと良いと思います。

まとめ
限られた時間で一級建築士設計製図試験を突破するには、コツ・小技を積み上げて作図速度及び精度を上げていくことが重要です。
些細なことでも、本記事の情報がご覧いただいている方のお役に立ち、一級建築士設計製図試験の合格率を上げる一助になれば幸いです。応援しています。


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